1年の延期を経て、EURO2020がようやく開催された。この大会の中継を含め、選手入場等に使用される全ての音楽のプロデュースを担当したのは、“世界No.1DJ”との呼び声も高いオランダ人DJ、マーティン・ギャリックス。そして彼が製作した大会公式アンセムが、開幕戦のオープニングセレモニーでも披露された『We are the People』だ。

“世界最強スタジアムバンド”U2のフロントマンであるボノのボーカルと、ジ・エッジが奏でるギターリフが特徴的なこの楽曲。ギャリックスは3年前に制作依頼を受けた時から、ボノの歌声が曲のイメージに合うと考えていたようだ。とはいえ相手は、ロックの殿堂入りを果たし史上最多22度のグラミーウィナーであるレジェンド。もともと共演のオファーは“ダメ元”だったらしく、ギャリックスは後に「ボノとジ・エッジとの共作はクレイジーな体験だった!」と語っている。
さて、オッサン真っ只中の筆者としては、ギャリックスよりもついついU2に食いついてしまうところ。この『We are the People』のミュージックビデオだが、カメオ出演で“ある元代表選手”が登場しているのに気づいた方はいるだろうか?(と言っても、現役時代の姿が思いっきり映ってバレバレだが…)U2の故郷、アイルランド代表でリヴァプールなどでも活躍したジェイソン・マカティアだ。

アイルランドのスポーツサイト『The42』(the42.ie)によると、「U2とマカティアの共演は20年越し」だったという。20年前の2001年9月1日、ダブリンのランズタウン・ロードで行なわれた日韓W杯欧州予選で、アイルランドはオランダに1-0で勝利。その重要な試合で決勝ゴールをあげたのがマカティアだった。同日、ダブリンから約60km離れたスレーン城でライブ予定だったU2のボノは代表チームのスタッフに連絡、マカティアをライブのゲストに招きたい旨を伝えたという。ヘリで迎えに行く提案までしたものの、残念ながらマカティアは既に友人のジョン・オルドリッジ(※元アイルランド代表、元リヴァプールなど)と飲みに行く約束をしていた為に断られたらしい。
それでもボノはその夜の野外ライブで8万人のファンとともにマカティアの名前を呼び、さらに大ヒット曲『Beautiful Day』の最後で「Beautiful Goal!」と叫び彼を称えた。一方のマカティアはというと後日そのライブの話を人づてに聞き、「あの夜はクソだった」とひどく後悔したらしい。
ともかく『We are the People』とともに、1ヵ月近くに渡るサッカーの祭典が始まった。イギリスのサッカーメディア『football.london』は「大会公式アンセムは当たり外れが大きい。『World in Motion』や『Three Lions』、『Waka Waka』といった曲はポップカルチャーに浸透しているが、2018年W杯やEURO2016の曲はというと、すぐ忘れられ今やラグの下だ。」と手厳しい。何もかもがイレギュラーのEURO2020、果たして彼らの曲は素晴らしい大会の記憶とともに刻まれるのだろうか?
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