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あの“スリーライオンズ”を超えた大人気チャント爆誕!!そして因縁も…

1996年にリリースされて以来、イングランドサポーターに最も愛され、最も歌われるアンセムとなった“Three Lions(スリーライオンズ)”。この名曲を超える勢いで、いま急激にサポーターたちに支持されている歌があるのをご存知だろうか。だが、多くのスポーツシーンで愛されたこの1曲が、今後新たな戦いの火種になるかもしれない。

いまや世界的スポーツアンセムとなった“スウィート・キャロライン”。ジョン・F・ケネディの長女、キャロライン・ケネディ元駐日大使の幼少期の写真からインスピレーションを受けたという1曲。

いまイングランド人たちが夢中になっているアンセムは“Sweet Caroline(スウィート・キャロライン)”。ザ・モンキーズの作曲などを手がけるアメリカ人シンガーソングライター、ニール・ダイヤモンドが1969年に発表したプラチナヒット曲だ。EURO2020ではイングランドの快進撃とともに、ファンたちがこの歌をスタジアムの内外で熱唱する光景が急増。それまでサポーターの定番アンセムであった“スリーライオンズ”を超える盛り上がりを見せている。この様子に、準々決勝・ドイツ戦後の会見に臨んだサウスゲート監督は「“スウィート・キャロライン”には敵わないね。素晴らしいよ!」と語っていた。

試合後、サポーターと一緒に“スウィート・キャロライン”を歌って喜びを分かち合うイングランドの選手たち。
EURO2020準々決勝、ドイツ戦後のウェンブリー。定番アンセムから現在人気No.1アンセムの大合唱リレー。
初のEURO決勝進出を祝い、街中で歌い続けるイングランドサポーター。
ハリー・マグワイアも歌詞の一部を引用してこのツイート。
準々決勝・ドイツ戦後のインタビューに答えるハリー・ケイン。大合唱に「何とも言えないね!」。

不思議とスポーツと縁がある“スウィート・キャロライン”、その活躍の場はラグビーやボクシング、テニスにアメフトなど多岐にわたる。中でもMLBのボストン・レッドソックスのホーム、フェンウェイ・パークでの“スウィート・キャロライン”は有名だ。毎試合8回表の終了後に流れるメロディに合わせ、スタジアム中の観客が一緒になって歌う姿は、野球ファンでなくとも一見の価値がある。また日本人的には、日本開催のラグビーワールドカップを思い出すかもしれない。カラオケタイムと称されたハーフタイムで、大勢のラグビーファンが「So good!So good!So good!」と笑顔で歌う様子は、ラグビーに興味ない方々にも印象深いシーンだったのではないだろうか。

スポーツ界で最も有名な“スウィート・キャロライン”、フェンウェイ・パーク。曲が流れるようになったきっかけは1997年、球場スタッフにキャロラインという名前の女の子が産まれたお祝いとして、だった。
2019ラグビー・ワールドカップの“カラオケタイム”。カントリーロードと並び、皆が立ち上がっての大合唱は必至。

このスポーツアンセムが、どういう経緯でイングランドのフットボールファンへ伝わって行ったのか。「2019年のクリケット・ワールドカップで地元イングランドが初優勝した際に観客が歌い始めたから」や、「当時2部だったアストン・ヴィラが2019年、リーグ戦12連勝を飾り1部昇格を果たしたきっかけの曲として、ファンが好んで歌うようになったから」など。他にも「2017年、アーセナルがFAカップに優勝した際にセレブレーションソングとしてウェンブリーで流されたことから」など諸説あるものの、実際のところ理由は定かになっていない。とは言え、聴けば思わず歌いたくなる、強い中毒性がこの曲にあるという事実だけは確かだ。

一方、こうしたイングランドの熱狂を苦々しく思っている人々がいる。“スウィート・キャロライン”をサッカースタジアムで歌い始めた“発案者”、北アイルランドのサポーターたちだ。

「スウィート・キャロライン…俺たちが最初だったって!」とエイモン・ホームズ氏がツイート。ちなみにGAWAは、Green and White Army(北アイルランドサポーターの呼び名)の略。

地元TV局の大物司会者であるエイモン・ホームズ氏はイングランドサポーターに対し、「自分たちの曲を手に入れろよ」と冗談めかしてチクリ。SNS界隈でも「イングランドはまた北アイルランドのアンセムを盗んでる。奴らに自分たちの曲はあるのか?」や、「イングランド人には想像力がない!」など多くの不満の声があがっており、「俺たちの歌であることを世界に広めよう」と呼びかける動きもあった。

さらに北アイルランド公式サポータークラブの共同代表であるゲイリー・マカリスター氏は、サポーターアンセムとして歌われるようになったのは「2000年代初めの頃までさかのぼる」と、自分たちが“元祖”であることを強調する。

「私の中での“スウィート・キャロライン”の変わらぬ思い出は、北アイルランドがスウェーデンを倒し、EURO2008の予選グループのトップに立った時だ。北アイルランドが予選グループのトップに立つなど、今までの人生の中で初めての経験だったんだ。試合終了のホイッスルが鳴り、我々は歌い始めた。あのひと時を大いに楽しんだね。だって、これ以上最高の瞬間はないと思ったからさ。」

“スウィート・キャロライン”のサビの部分、「Good times never seemed so good
(良い時ってのは全然そうと思えないんだろう)」という歌詞は、彼らのこれまでと重なる部分があったのだろう。それだけに曲に対する思い入れはイングランド人に絶対に負けていないという自負もあるはずだ。

EURO2016、リヨンでの北アイルランドサポーター。

さらに北アイルランドのサポーターからすれば、イングランド人が自分たちの発明したチャントである“Will Grigg’s on Fire”を使ったという“前科”もある。(※詳しくは過去記事、『【ユーロ2016】No.1チャントは!?もちろん…』をご覧ください)

「我々の作り出すスタジアムの雰囲気が素晴らしいと評価されているので、イングランドサポーターに真似されようが気にはしないよ。でも結局のところ、“スウィート・キャロライン”は俺たちの歌さ。」と前述のマカリスター氏。

「かつてはEUROに出場するなんて、我々には遠い遠い夢だった。だが、我々は(EURO2016出場で)達成した。次の2024年ドイツ大会、予選の組み合わせ抽選次第では我々は再び夢を見ることができるんだ。」

と、来たる本家と元祖の戦いへやる気充分だ。もちろん、何が起こるかわからないのがEURO。だがやはりサッカーファンとしては、この新たな因縁の対決が本大会で実現することを切に願いたい。試合の結果はどうあれ、この両者の対戦がスタジアム内外で最も盛り上がることは間違いないのだから。

投稿者プロフィール

KATSUDON
KATSUDONLADS FOOTBALL編集長
音楽好きでサッカー好き。国内はJ1から地域リーグ、海外はセリエAにブンデスリーガと、プロアマ問わず熱狂があれば、あらゆる試合が楽しめるお気楽人間。ピッチ上のプレーはもちろん、ゴール裏の様子もかなり気になるオタク気質。好きな選手はネドヴェド。
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