EURO2020で多くの人々を夢中にさせた(もちろん我々も!)、ジャック・グリーリッシュ。アストン・ヴィラからやってきたマンチェスター・シティの新10番は、次世代のスーパースター候補の筆頭だ。そこで今回、サッカーファンが絶対好きになるような彼の7つの魅力を筆者の独断と偏見でご紹介したい。

【理由その1:ヘアースタイルがダサカッコいい!】
グリーリッシュと言えばイケメン。そしてあのセンター分け。センター分けの大先輩(?)デイビッド・ベッカムのソレに似てなくもないが、異なるのは偶然の産物であるということ。元々はポマードなどで髪を後方になでつける「スリック・バック」スタイル。ドラマの『ピーキー・ブラインダーズ』や『ボードウォーク・エンパイア』に出てくるような、19世紀末〜20世紀初頭に活躍したギャング風の髪型に影響されたものだ。それが試合中の激しい動きで崩れ、自然とセンター分けになっている、というのが真相だ。最近では長くのびた髪をヘアバンドでまとめることが多く、試合後はベッカムよりさらにボリューミーになっていることも。

ちなみにこの中分け、まるで90年代を想起させるような髪型だが、今では「一周回まわって新しい」と評判になっている。多くの美容師達がグリーリッシュ風ヘアカット動画をYouTubeにあげており、お客からの要望も多いとのこと。英国の『GQ』誌が「How to get Jack Grealish’s floaty-light curtains haircut(ジャック・グリーリッシュの“フロート・ライト・カーテン”ヘアカットをゲットする方法)」と題して特集記事が組まれているほど注目されている。ただしこの髪型、特に奇抜というわけでもないので、真似したところで周囲にわかってもらえないところが難点なのだが。
【理由その2:お酒大好きすぎて失敗しちゃうところが憎めない!】
事あるごとにタブロイド紙を賑わすグリーリッシュ。才能は申し分ないのだが、お酒にだらしないところが玉にキズ。まだ彼が19歳だった(※イギリスでは18歳から飲酒可)ころ、休暇に訪れたスペインのテネリフェの路上で泥酔した姿がSNSで拡散。もちろんクラブからはお灸が据えられ反省したはずだったが、そこは彼の体に流れるクォーター・アイリッシュの血。約半年後、試合に負けた夜にナイトクラブで遊んでいたことがバレて、リザーブチームに送られるという罰を受けることに。また21歳の時には、ホテルで大騒ぎしたことで再びリザーブ送りとなっている。

チームに元イングランド代表、ジョン・テリーが加入して以降は精神面で落ち着きが見られるようになった…と思いきや、懲りない“Jack The Lad”(悪ガキ ジャック)。今度は2020年3月、コロナ禍によるロックダウンが行なわれている最中に、こっそり元チームメイトが主催するハウスパーティーに参加。これだけでも問題だが、その帰りに酔った状態で交通事故を起こした挙句に逃げ去ろうとしたのだ。さらに事故からわずか7ヶ月後、今度はヴィラの練習場近くでスピード違反で捕まってしまう。ともに当時の映像がメディアに流出し、大々的に知られることに。バーミンガムの裁判所が2件に下した判決は、9ヶ月の免許停止処分と82,499ポンド(約1,260万円)の罰金命令を受けている。
サッカーファンからすればイングランド代表の大先輩、ポール・ガスコインを彷彿とさせる愉快な“やっちゃった”話だが、彼の周囲はそうも言ってられない。今度こそ自重してくれればいいのだが、新天地はマンチェスター。遊ぶ場所が多い街なだけに心配だ(苦笑)
【理由その3:常にストッキングを下げた独特の姿が印象的!】
グリーリッシュの特徴として、下がったソックスもあげられるだろう。ただし前述の髪型とは異なり、彼のソックスはピッチに入る前から下までズリ落ちている。ヴィラでも代表でも、ほぼ足がむき出しになっている様子に、周囲が気にならないはずがない。メディアからは「アカデミー時代に持ってるソックスが少なく、繰り返し使っているうちに小さくなってしまった名残」説や、「彼はジョージ・ベストの真似をしてる」といった憶測も流れたが、いずれも事実ではなかった。なおベストの件については、グリーリッシュ本人がこのようにコメントしている。
「確かにジョージ・ベストのことはを愛してるし、彼がしたことはとても尊敬しているけど、それが理由ではないね。」

彼の近しい人間によれば、グリーリッシュは“トレイン・チケット”と呼ばれるほどに小さな、子ども用のシンガードを使っているという。これはソックスやシンガードによって足の動きが制限されたような感覚になるのを嫌って、というのが理由とされている。が、こちらも実際のところ定かではない。ただし彼のソックスへの強いこだわりは子供の頃からのものであり、ヴィラのアカデミーコーチから「ソックスをあげないと試合に出さない」と怒られても言い返していたらしい。今でもたまにレフェリーには指摘されるとのことだが、あまり気にしていない様子だ。
「これは一生通してやってるおまじないみたいなものでね。だからやり続けなきゃいけないんだ。今のところスネを蹴られた事はないし、これからも蹴られない事を願っているよ。」
ティエリ・アンリがアーセナルで活躍した頃、子供達がみな真似してソックスを膝上履きしていたが、今後のグリーリッシュの活躍次第では育成コーチが頭を悩ませる事態が生まれるかもしれない。
【理由その4:引くほど物持ち良すぎるのがイカす!】
グリーリッシュといえば、スパイクのエピソードも忘れてはいけないだろう。2018-19シーズン、昇格プレーオフに勝利してヴィラが4季ぶりのプレミア復帰を果たしたその日。試合後、喜びのインタビューに答えるグリーリッシュの足元に、周囲は驚いた。彼が履いていたのは、すっかりボロボロになったナイキのスパイク。特に左足の方は、とっくにゴミ箱に入っててもおかしくないほどだったが、彼にとってはこの大一番に最もふさわしい一足だったのだ。

「怪我から戻ってきた時は、(※比較的ボロくない右足の方を見せながら)このくらいの感じだったんだよ。まだ真新しいものだったんだ。そしたら(この靴を履き始めてから)いくつかのゴールとアシストを決められるようになってね。だからこの一足は自分にとってのラッキーブーツだと思ったんで取っておいたんだよ。」(The Sun 2019年7月21日記事より)
さすがに翌シーズン前の親善試合では、新たなナイキのシューズで登場したグリーリッシュ。ソックスといい、何かと縁起を担ぐタイプなのかもしれないが、さすがにエティハド・スタジアムで履いてるところは…。
【理由その5:愛するクラブにちゃんとお金を置いていくのがエライ??】
グリーリッシュとアストン・ヴィラの関係は相思相愛だ。彼の高祖父にあたるビリー・ガラティは19世紀末から20世紀初めに活躍した、リーグ得点王を獲得したこともあるヴィラのレジェンド。そのためか、一家はみな熱狂的なヴィラのファン。もちろん彼が最初に買ってもらったシャツはヴィラのものであり、ヴィラのアカデミーと最初に契約を結んだ9歳の頃にはすでに父親とともにシーズンチケットホルダーだったほどだ。


プロになってからもクラブへの愛情は変わるどころか増すばかり。スパーズからのオファーを3度断った話は有名で、最後は移籍金2,500万ポンド(約38億円)まで跳ね上がったにもかかわらず、ヴィラ愛を貫き通した。ただし当時のヴィラはクラブの経営状況が厳しく、現在のエジプト人大富豪がオーナーになる直前はさすがにクラブのためにと移籍を覚悟していたようだが。

とはいえ、いかにクラブへの熱い愛情を持つ彼にも、サッカー人生の中で新たな望みが生まれたのは事実。2020年9月にグリーリッシュがクラブと交わした新契約では、プレミア史上最高となる「契約解除金1億ポンド(約153億円)」という一見現実不可能と思える額に加え、彼の希望である「チャンピオンズリーグ参加クラブからのオファーがあった際、ヴィラにCL出場権がなかった場合は移籍を邪魔しない。」という条項が含まれていた。
シティがこの額を受け入れたのはクラブ首脳陣にとっては予想外だったが、結果としてグリーリッシュの望みは叶えられ、クラブの金庫の中はこれ以上ないほどに満たされた。一部のヴィラファンは彼のユニフォームを焼いているようだが、有力選手がトップクラブに抜かれていくのはこの世の常。ある意味、こんな理想的な孝行息子はいない。愛着あるクラブへの、彼なりの筋の通し方に見えるのだが。
【理由その6:もちろん選手としても魅力的!】
フットボールサイトらしく(?)ちょっとしたデータも載せておこう。
データサイト『WhoScored.com』によれば、2020-21シーズンのプレミアリーグにおいて、2桁のアシスト数をあげた選手はたったの5人。そのうちMFの選手は3人(※残り2人はスパーズのハリー・ケインとソン・フンミン)しかいない。そんな中、グリーリッシュの10アシストは全体の4位にあたるのだが、いわゆるキー・パス数(※アシストしそこなったパス)を加味すると、リーグ全体で彼より上位の選手はシティのケヴィン・デ・ブライネしか存在しない。あの名手、ブルーノ・フェルナンデスより多くのチャンスを創出している選手ということになるのだ。
リーグ戦11位で終わったアストン・ヴィラで、さらに負傷による離脱を強いられ26試合の出場に留まったことを考えれば、彼の貢献度がどれほど高いものだったかわかっていただけるはずだ。
ちなみに、選手評価で興味深いのが『FIFA』シリーズの数値。その時々の現実での活躍によって、選手の数値が変動するというもので、実際の選手本人たちも意外と気にしている数字だ。前作『FIFA21』では基本の総合値が“80”だったグリーリッシュ。2021年10月発売予定の最新作『FIFA22』では、「電撃的な移籍を果たした選手はシーズン前に大きく能力が向上する」という“Ones To Watch”選手に選ばれると予想されており、基本値“84”前後でのスタートになるのではと言われている。(※なおこの稿を執筆している時点では、C・ロナウドとメッシの総合値は“97”。)パスとドリブルの数値はすでにイングランド人選手でトップレベルに設定されており、今後の活躍によってはソフト発売時に更なる数値アップも期待できるだろう。

【理由その7:そして…やっぱり7番より10番でしょう!?】
代表では16、17、11と様々な背番号を付けてきたが、EURO2020ではラヒーム・スターリングが背負っていたために7番となっていたグリーリッシュ。しかしイングランド代表で長袖、中分けヘアーの背番号7となると…、それではデヴィット・ベッカムではないか。確かにその容姿と高い技術から、メディアには「ベッカムの足技を持った悪ガキ」と評されることもあった。だったらガッザの方がより近いだろとも思うのだが、やっぱり彼に7番も8番も似合わない。10番こそ彼の背中にはよく似合う。セルヒオ・アグエロがいなくなったこともあるが、あえてマンチェスター・シティにはこう言いたい。ありがとう!そしてグッジョブ!!


え、最後手抜きだって?まぁ、小さいことは気にせずに、今後大ブレイク必至のグリーリッシュのプレーを存分に楽しもうじゃないか。
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