このテキストを読んでいるあなたが、もしもサッカーに少しでも興味があり、もしもNetflixに加入していて、にも関わらず『CLUB DE CUERVOS(クラブ・デ・クエルボス)』をまだ観ていないのなら。急いで再生するべきだ。間違いなく、あなたのサッカーライフは損をしている。大丈夫、自信を持って断言する。
そもそも『クラブ・デ・クエルボス』とは、アメリカで2015年から制作されたNetflixオリジナルの海外ドラマ。メキシコ1部に所属する架空サッカーチーム『クエルボスFC』のオーナーの死をきっかけに、イグレシアス家を中心に巻き起こるドタバタ喜劇だ。物語は4シーズンで完結しており、海外ドラマは長くてちょっと…という方にも安心なはず。
ドラマの主要言語がスペイン語、そしてサッカーが題材とあってか、特にラテン系の国々で大人気。その影響は、レアル・マドリードとアディダスがドラマとのコラボ動画を制作するほどだ。

https://www.realmadrid.com/ja/fans/videos/2016/07/james-sends-a-shirt-to-the-president-of-the-club-de-cuervos(※スペイン語 英語字幕)
ユニフォーム販売促進の為、クエルボス人気にあやかろうとしているのがよくわかる。それだけみんなクエルボスに夢中なのだ。
強烈なキャラクターたち、急展開のストーリー、ラテンらしい(?)下ネタとエロ、たまに見せる家族愛…。ドラマの魅力をあげればキリが無い。だが、サッカーファン的に注目なのは、思わずニヤリとしてしまう小ネタの数々だろう。
例えば主人公チャバの、どこか頼りない秘書の名前は『ウゴ・サンチェス』という。メキシコ人で、この名前。ピンと来た人は、80年代のリーガエスパニョーラ好きに違いない。サッカー界でウゴ・サンチェスといえば、かつてレアル・マドリーで4度も得点王に輝いた、メキシコ代表のストライカー。そんな英雄を、なんともお間抜けな男の名前に使うなんて!しかも「クエルボスをラテンアメリカのレアルにしたい」と息巻いている主人公の傍にいるのだから、ドラマの製作陣はなんとも意地が悪い。他にも“チャンピオンズリーグ優勝を経験してる”メキシコ代表選手が登場したりと、どのエピソードにどんな遊びが仕掛けられているかを探すのも楽しみの一つだろう。

また、メキシコサッカー界の問題点が物語各所に散りばめられているのも興味深い。マフィアまがいの代理人の存在や、日常的に横行する買収、地方自治体とクラブとの争い、W杯の利権を巡るビッグクラブと小規模クラブ間の対立などなど。コメディというオブラートに包みながら、こうしたメキシコのサッカービジネスの暗部を面白おかしく風刺しているのだ。もちろんそういった障害を、田舎の弱小クラブがはねのけていく様が、また痛快ではあるのだが。
他にもユニフォームのカッコ良さだったり、奇抜なチームブランディングなどなど、オススメポイントは数多くあるのだが、まずは第1話を観ていただきたい。そして面白いと思ったのなら、あとはシーズン1最終話まであっという間。第4シーズンまで観終わるのに、そんな時間はかからない。その頃にはすっかりカラスの呪いにかかっているはず。スピンオフ2作品まで完走した時、あなたの“2番目の心のクラブ”はクエルボスになっているはずだ。
※Netflix “CLUB DE CUERVOS”
https://www.netflix.com/title/80030346
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