文化・歴史

局地的大人気・LAFCと、カリスマ日本人タトゥーアーティストのステキな関係

アメリカはロサンゼルスを拠点に活動する世界的タトゥーアーティストの1人、TOKYO HIRO(トーキョー・ヒロ)氏。彼が作り出した作品は、多くの著名人から絶大な支持を集めている。そんな彼が斬新なコラボで、いま話題のクラブを支えている。

TOKYO HIRO氏。ランシドのラーズ・フレデリクセンの額に掘られた“SKUNX”の文字が彼によるものというのは有名な話。

時にはタトゥーアーティスト、時にはパンクロックバンドのギタープレイヤー、時にはピッチャー、そして時にはアパレルブランドの共同経営者。TOKYO HIROという人物を語るには、あまりに言葉が足りなすぎる。ただはっきりしているのは、世界中の人々が彼の作品に魅了されているということだ。

ランシド、オフスプリング、フー・ファイターズ、モーターヘッド、マリリン・マンソン、ニコラス・ケイジ、曙、森泉、クイーンのロジャー・テイラー、MIYABI、などなど…。

ざっと名前を挙げただけでも、思わずため息が出そうなメンバーばかり。にもかかわらず、彼がいまだに“知る人ぞ知る存在”であるのは、とにかく極端にメディアに出てこないことと、なかなか予約が取れないほど多忙を極めているからだ。(※とはいえ、フワちゃんにオフスプリングの連絡先を教えるという、日本のバラエティに少し出演されているが)それもそのはず、現在あらゆるブランドやアーティストのグッズなどに数多くのデザインを提供している。

アパレルも多くデザインしているTOKYO HIRO氏。モデルはかねてから交友関係にあるマンウィズことMAN WITH A MISSION。
YAMAHA GUITARとTOKYO HIROのコラボギター。(※USA YAMAHA.comより)

現在コンサドーレ札幌所属の小林祐希選手もまた、TOKYO HIRO氏の世界にハマった人間の1人だ。スポーツメディアサイト“REALSPORTS”での自身のタトゥーについてのインタビューで、日本人カリスマとの当時のやりとりをふりかえっている。

「『タトゥー入れたいです。入れたい内容ももう決まっているんです』って話してたんですけど、『日本だとタトゥーは受け入れられないからダメ。お前のことは好きだからお前には入れない』と2年くらい断わられていたんです。」(※REALSPORTS 2019年10月21日記事より

2021年、韓国2部でプレーしていた頃の小林祐希選手。タトゥーは23歳の頃から。

いまだにイレズミ=暴力団のイメージが強すぎる日本。2015年の調査では、全国の宿泊施設の内、実に56%がタトゥーを入れている者の共同浴場の利用を禁じている。中でもスポーツ選手のタトゥーへの世間の風当たりは強く、2019年に行なわれたラグビーワールドカップで参加選手へタトゥーを隠す様に要請があったことは記憶に新しい。1960年代のヤクザ映画の影響はあるにせよ、日本のタトゥーアレルギーは相当なもの。日本人であるHIRO氏にも思うところがあったのだろう。

それでも諦められなかった小林選手。とうとうロスのTOKYO HIRO氏の自宅まで訪ねて直談判し、ようやく施術までこぎつけたという。小林選手らしい行動力もさることながら、そこまでしてでも依頼したくなるHIRO氏の作品の魅力がうかがい知れるエピソードといえる。

元アメリカ代表でエバートンの守護神だったティム・ハワード。彼もまた親友として長い付き合いだ。(TOKYO HIRO Facebookより)
元日本代表、佐藤寿人のTOKYO HIROデザインによるシンガード。彼もまたTOKYO HIROのファン。(TOKYO HIRO Facebookより)

素晴らしい作品の数々。その中でも特にユニークなのは、ロサンゼルスFC(以下、LAFC)とのコラボであることは間違いないだろう。チーバスUSA解散により2018年、新たにアメリカのMLS(メジャーリーグサッカー)に加入したLAFC。斬新かつ、練りに練られたブランディングも含め、非常に魅力的なクラブを作り上げたことで注目される、いま話題の新興チームだ。そのLAFCがチーム立ち上げの際に、人気の起爆剤として選んだのがTOKYO HIRO氏だった。

黒と金がクラブカラーのLAFC。経営陣にNBAのスーパースターであるマジック・ジョンソンや、女子アメリカ代表レジェンドのミア・ハムが加わったことでも話題になった。
El Tráfico(エル・トラフィコ)と呼ばれるLAギャラクシーとのダービー。イブラヒモビッチのデビュー戦となった2018年の初対戦は、LAFCファンにとって忘れられない屈辱的な試合。
LAFCには“The 3252”と呼ばれるサポーターズユニオンが存在する。なお、まったくの余談だが、LAにはLA Death Squad(LADS)というギャングがいるとのこと。(言いたかっただけ)
ホームのバンク・オブ・カリフォルニア スタジアム建設中の様子。(TOKYO HIRO Instagramより)

2018年7月、LAギャラクシーとの2度目のダービーで行なわれたこのイベントは、LAFCのユニフォームを購入した人を対象に企画された。TOKYO HIROデザインの、タトゥーをイメージしたパッチやナンバーリングなどで、ユニフォームを自分好みの一着にできるというものだ。コラボユニフォームの制作ではなく、あえて既存のユニフォームをカスタマイズするという手法を選んだのは、かつてないアイディアと言えるだろう。

ネームもナンバーもTOKYO HIROオリジナルのフォントでカスタマイズされた1stユニフォーム。
こちらはカスタマイズされた2ndユニフォーム。着れば必ず注目の的。
用意されたTOKYO HIROオリジナルのパッチの数々。
パッチのオリジナルデザイン画。(TOKYO HIRO Instagramより)
イベントの告知は大々的にスクリーンに映し出されていた。(TOKYO HIRO Instagramより)
イベントスタッフとの一枚。(TOKYO HIRO Instagramより)
参加者と一緒に。(TOKYO HIRO Instagramより)

音楽とフットボールをこよなく愛するというTOKYO HIRO氏。次はどんな作品が生まれるのか、今後もHIRO氏の活動から目が離せない。

【TOKYO HIRO Twitter / Facebook / Instagram

投稿者プロフィール

KATSUDON
KATSUDONLADS FOOTBALL編集長
音楽好きでサッカー好き。国内はJ1から地域リーグ、海外はセリエAにブンデスリーガと、プロアマ問わず熱狂があれば、あらゆる試合が楽しめるお気楽人間。ピッチ上のプレーはもちろん、ゴール裏の様子もかなり気になるオタク気質。好きな選手はネドヴェド。
ABOUT ME
KATSUDON
音楽好きでサッカー好き。国内はJ1から地域リーグ、海外はセリエAにブンデスリーガと、プロアマ問わず熱狂があれば、あらゆる試合が楽しめるお気楽人間。ピッチ上のプレーはもちろん、ゴール裏の様子もかなり気になるオタク気質。好きな選手はネドヴェド。
最新記事
関連記事

コメントを残す

LADS FOOTBALLをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む