アメリカはロサンゼルスを拠点に活動する世界的タトゥーアーティストの1人、TOKYO HIRO(トーキョー・ヒロ)氏。彼が作り出した作品は、多くの著名人から絶大な支持を集めている。そんな彼が斬新なコラボで、いま話題のクラブを支えている。

時にはタトゥーアーティスト、時にはパンクロックバンドのギタープレイヤー、時にはピッチャー、そして時にはアパレルブランドの共同経営者。TOKYO HIROという人物を語るには、あまりに言葉が足りなすぎる。ただはっきりしているのは、世界中の人々が彼の作品に魅了されているということだ。
ランシド、オフスプリング、フー・ファイターズ、モーターヘッド、マリリン・マンソン、ニコラス・ケイジ、曙、森泉、クイーンのロジャー・テイラー、MIYABI、などなど…。
ざっと名前を挙げただけでも、思わずため息が出そうなメンバーばかり。にもかかわらず、彼がいまだに“知る人ぞ知る存在”であるのは、とにかく極端にメディアに出てこないことと、なかなか予約が取れないほど多忙を極めているからだ。(※とはいえ、フワちゃんにオフスプリングの連絡先を教えるという、日本のバラエティに少し出演されているが)それもそのはず、現在あらゆるブランドやアーティストのグッズなどに数多くのデザインを提供している。


現在コンサドーレ札幌所属の小林祐希選手もまた、TOKYO HIRO氏の世界にハマった人間の1人だ。スポーツメディアサイト“REALSPORTS”での自身のタトゥーについてのインタビューで、日本人カリスマとの当時のやりとりをふりかえっている。
「『タトゥー入れたいです。入れたい内容ももう決まっているんです』って話してたんですけど、『日本だとタトゥーは受け入れられないからダメ。お前のことは好きだからお前には入れない』と2年くらい断わられていたんです。」(※REALSPORTS 2019年10月21日記事より)

いまだにイレズミ=暴力団のイメージが強すぎる日本。2015年の調査では、全国の宿泊施設の内、実に56%がタトゥーを入れている者の共同浴場の利用を禁じている。中でもスポーツ選手のタトゥーへの世間の風当たりは強く、2019年に行なわれたラグビーワールドカップで参加選手へタトゥーを隠す様に要請があったことは記憶に新しい。1960年代のヤクザ映画の影響はあるにせよ、日本のタトゥーアレルギーは相当なもの。日本人であるHIRO氏にも思うところがあったのだろう。
それでも諦められなかった小林選手。とうとうロスのTOKYO HIRO氏の自宅まで訪ねて直談判し、ようやく施術までこぎつけたという。小林選手らしい行動力もさることながら、そこまでしてでも依頼したくなるHIRO氏の作品の魅力がうかがい知れるエピソードといえる。


素晴らしい作品の数々。その中でも特にユニークなのは、ロサンゼルスFC(以下、LAFC)とのコラボであることは間違いないだろう。チーバスUSA解散により2018年、新たにアメリカのMLS(メジャーリーグサッカー)に加入したLAFC。斬新かつ、練りに練られたブランディングも含め、非常に魅力的なクラブを作り上げたことで注目される、いま話題の新興チームだ。そのLAFCがチーム立ち上げの際に、人気の起爆剤として選んだのがTOKYO HIRO氏だった。


2018年7月、LAギャラクシーとの2度目のダービーで行なわれたこのイベントは、LAFCのユニフォームを購入した人を対象に企画された。TOKYO HIROデザインの、タトゥーをイメージしたパッチやナンバーリングなどで、ユニフォームを自分好みの一着にできるというものだ。コラボユニフォームの制作ではなく、あえて既存のユニフォームをカスタマイズするという手法を選んだのは、かつてないアイディアと言えるだろう。







音楽とフットボールをこよなく愛するというTOKYO HIRO氏。次はどんな作品が生まれるのか、今後もHIRO氏の活動から目が離せない。
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